第39回ときめき☆セミナー


「モダニストでもポストモダニストでもなく—ドゥルーズとガタリ、そして同時代的世界—」

講師:イアン・ブキャナン(University of Wollongong)
 

要旨:
 1985年11月、フェリックス・ガタリは東京で「ポストモダンの袋小路」と題された講演を行った。そこでガタリは二つのことを実行する。まず彼は、ポストモダンはモダンの(強化であるにもかかわらず)単なる継続であると主張して、それらの間の区別を拒否する。続いて、彼は自分の思想がリオタールやボードリヤールのような著名なポストモダニストとどのように異なるのかを説明しようとする。とりわけ、彼らのアイデアを批判するために、彼は次のように切り出す。彼らのどちらであっても社会を思考することはもはや不可能である、なぜなら社会は正当性を否認されていた(リオタール)か、そもそも決して存在していなかった(ボードリヤール)のだから。そのとき次のような問いが生じる。もしドゥルーズとガタリの思想がモダニストでもポストモダニストでもないのであれば、私たちはどのように彼らの思想をカテゴライズするべきか。その思想は20世紀思想の歴史的な図式のなかのどこにふさわしいのか。これは喫緊の問いである。というのも、彼らの死から20年を経て、彼らの仕事が着々と「ポストモダン」として分類されているからである。それはまるで彼らの思想が過去に属しているといわんがためにである。私が主張したいのは、反対に彼らの思想は、彼らが生きていたときにあったように、今も依然として同時代のものであり続けているということだ。