第21回ときめき☆セミナー(※終了しました)
生殖補助技術時代における『子ども問題』
:オーストリアにおける人生設計、技術化、出産の意志決定
The Kinderfrage in the Era of Assisted Reproductive Technology:
Biography, Technicity and Reproductive Decision Making in Austria
講師:ベルンハルト・ハドルト(Bernhard Hadolt)
(ウィーン大学社会科学部教授・京都大学人文科学研究所招へい教授)
日時:2011年10月13日(木) 16:00−18:00
場所:大阪大学(吹田キャンパス)生命科学図書館4階AVホール
使用言語:英語
※どなたでも自由に参加できます。
共催:医療人文学研究会
概要:
1960年代以降欧米社会においては子どもをもつこと、育てることについて深く広汎な変化が生じている。親となること、家族をもつことは、他の多くの目標と競合する人生の一つの目標に過ぎなくなった結果、女性1人当たりの出産数は減少し、出産年齢も高まった。オーストリアもこうした状況の例外ではなく、合計特殊出生率は1963年の2.82から2010年の1.44まで低下し、平均出産年齢も1978年の26.2歳から2009年の29.7歳に上昇している。Beck-Gernsheimによれば、1960年代以降、子どもを持ちたいという「子供願望Kinderwunsch」は、積極的な家族設計の中での「子ども問題Kinderfrage」に置きかわったという。本報告では、生殖補助技術を用いた家族設計を考えている人々における「子ども問題」が彼らにとってどのような意味をもつのかを、不妊治療クリニックにおけるフィールドワークや関連する資料を通して明らかにしたい。報告では、生物医学的技術としての生殖補助技術に関連するいくつかの重要な問題を説明し、その規制について、どのように臨床的に応用されるのかを説明したうえで、この技術の利用者における子どもへの願望、子どもがいないことの人生設計上の問題について、また生殖補助技術を可能な限り通常の性交渉による妊娠に近づけようとする努力について述べたい。